妙本寺

二天門

四天王のうちの「二天」が祀られている門

入口から杉木立の参道を上がると見えてくる二天門。1840年に建立されたもので、仏教の守護神である「四天王」のうち、持国天（向かって右側）と毘沙門天（左側）を安置していることから「二天門」と呼ばれている。2011年に保存修理が完了し、朱色の鮮やかな姿に蘇った。

写真AC

祖師堂

鎌倉最大級といわれる木造仏堂建築は迫力満点

二天門を抜けると正面にある祖師堂は、宗派の開祖の像を安置する堂のことで、木造日蓮聖人像が安置されている。日蓮六老僧の一人である日朗が建立し、第四十七代住職の日教によって天保年間（1830～1843年）に再建されたと伝えられている。
祖師堂の両脇には鎌倉有数のカイドウがあり、春には桜と共に周囲を華麗に彩る。

比企一族之墓

頼朝からの信頼も厚かった比企能員と一族の供養塔

祖師堂の向かって右側に並ぶ多数の墓石が比企一族の墓。比企能員は、源頼朝を長年支えた乳母・比企尼の養子で、鎌倉幕府の有力御家人。妻は二代将軍・頼家の乳母で、娘の若狭局は頼家の側室になり嫡男・一幡を産むなど、頼家の外戚として権力を持った。しかし、一族は北条氏に滅ぼされ、京都で生き延びていた比企能員の息子・能本が、一族の霊を弔うために妙本寺を創建した。

一幡之君袖塚

一幡の袖が納められている場所

わずか6歳でこの世を去った、二代将軍・源頼家の嫡男・一幡が身に着けていた服の袖が祀られている。この袖は、北条氏によって比企一族が滅ぼされた「比企の乱」の後に、焼け跡からただ一つ見つかったものと伝わっている。
右側に石碑が、左側には小さな石塔が建てられている。

蛇苦止堂

蛇身となった若狭局を祀る社

1203年の比企の乱で、若狭局は井戸に身を投げて自害したと伝わっている。伝承によると、その後の1260年に北条政村の娘が若狭局の霊に祟られ、まるで蛇の様な狂態をみせたとある。この出来事により、政村は若狭局を蛇苦止明神として祀る堂を建立し、それが蛇苦止堂と呼ばれるようになった。蛇苦止堂の隣には、若狭局が身を投げた「蛇苦止の井」がある。