京都の仏像

慈愛に満ちた仏と心静かに向き合う

古来より人々の心の拠り所として崇められてきた仏像。仏教文化の中心地として長い歴史を持つ京都には、国宝などの貴重な仏像を拝観できる寺院が点在している。中でも東寺の立体曼荼羅や三十三間堂にズラリと並ぶ仏像群は圧巻で、まるで古の都にタイムスリップしたような感覚を覚える。現在では信仰の対象としてだけでなく、美術品としても観賞されており、細やかな装飾やしなやかな姿は生きているかのように美しい。仏の種類によって姿が変わるのはもちろん、平等院三千院の阿弥陀坐像、永観堂のみかえり阿弥陀など、同じ仏でも大きさやポーズが異なるのも特徴。

平等院

平等院

(国宝)

宇治エリア

鳳凰堂の中心に鎮座する阿弥陀如来像と、様々なポーズで周囲を取り巻く雲中供養菩薩は、太古の人々が夢見た極楽浄土の楽しげな世界を想像させる。

清凉寺

清凉寺

(国宝)

嵐山・嵯峨野エリア

37歳の釈迦の姿を刻んだという釈迦如来像は、胎内から絹製の臓器が見つかったことから「生身の仏像」と呼ばれる。霊宝館では絹製臓器や、阿弥陀三尊像などが公開されている。

広隆寺

広隆寺

(国宝)

嵐山・嵯峨野エリア

国宝指定第1号の「宝冠弥勒」は、しなやかで優美な姿から「京都一美しい仏像」と呼ばれる。また、国宝に指定されている6体の仏像の内、5体は常時公開されている。

三十三間堂

三十三間堂

(国宝)

京都駅周辺エリア

全長120mの堂内には、表情や装飾など一つとして同じものがないという1,001体の千手観音立像がズラリと並ぶ。また、風神・雷神像、二十八部衆像、7mを超える千手観音菩薩も迫力がある。

東寺

東寺

(国宝)

京都駅周辺エリア

密教の世界感を21体の仏像で表現した「立体曼荼羅」は、大きさや形が異なる様々な像の並ぶ姿に圧倒される。中でも象に乗った帝釈天は、整った顔立ちで知られており、これを目当てに訪れる参拝者も多い。

三千院

三千院

(国宝)

大原エリア

極楽浄土を表現した往生極楽院の「阿弥陀三尊像」は、脇侍の観音菩薩坐像と勢至菩薩坐像が、膝を少し開き上半身を前屈みにする「大和坐り」という珍しい姿をしている。

醍醐寺

醍醐寺

(国宝)

醍醐エリア

平安時代前期の仏像の特徴を色濃く残す「薬師如来坐像」は、大きめに作られた頭部やがっちりとした体格が、力強い雰囲気を醸しだす。

永観堂

永観堂

岡崎・銀閣寺周辺エリア

「永観、おそし」の伝説で知られる「みかえり阿弥陀」は、顔を左に向けて振り返っているような珍しい姿が特徴。正面からだけではなく横からも拝観でき、わずかに見える歩行の所作や、歩みを止めた様子の造形は見事。

六波羅蜜寺

六波羅蜜寺

祇園エリア

口から南無阿弥陀仏を表す6体の仏が出ている姿で有名な「空也上人立像」や「平清盛坐像」など、教科書などでも有名な仏像が拝観できる。

千本釈迦堂

千本釈迦堂

西陣エリア

十大弟子像」と「六観音像」が完存していることで知られ、特に六観音が6体全て揃っているのは日本でも唯一といわれる。また、六観音の中でも「如意輪観音菩薩」は、片膝を立て頬に手を当てた姿が美しい仏像として有名。

神護寺

神護寺

(国宝)

高雄エリア

平安時代初期頃の作とされる「薬師如来立像」は、圧倒的な量感の体躯と威圧感を与えるような厳しい表情が特徴。その姿は、間近に拝観すれば畏怖の念すら感じさせる。

泉涌寺

泉涌寺

伏見稲荷・東福寺周辺エリア

絶世の美女・楊貴妃がモデルとされる楊貴妃観音像は、透かし彫りの宝冠などの繊細な装飾や、優美な顔立ちが楊貴妃の美しさ彷彿とさせる。美人祈願や縁結びのご利益があるとされ、参拝する女性も多い。

即成院

即成院

伏見稲荷・東福寺周辺エリア

阿弥陀如来坐像と二十五の菩薩像が、極楽浄土の世界を立体的に描き、臨終をむかえた人を迎えに来る様子を表現している。菩薩像の多くは琵琶やなどの楽器を演奏しているため「仏像のオーケストラ」と呼ばれている。

京都の仏像の地図

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